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将来設計図としての遺言書

「遺言」と聞くと、何だか悲観的でネガティブな印象を受け、「そんな縁起でもない、私はまだまだ元気だ」というお叱りの声さえ聞こえてきそうです。確かに遺言はいつか迎えなければならない、人の死を想定するものです。しかしそのいつ到来するかわからない将来のために、ご家族や大切な方々のために今どんなことができるかということをつきつめていくと「遺言書」の重要性が俄然クローズアップされてくることになります。ご家庭がある方もそうでない方も、皆様それぞれの構想や思惑が少なからずおありだと思いますが、それを形にしてあげられるのは、現にこうして生きていて元気でいる間のことです。世の中一寸先はまったく何が起こるかわかりません。まだ先の話だと思っていると、不慮の事故で命を落としたときに、皆様にとって大切な方々が遺産や権利関係をめぐって一騒動起こることが考えられます。「遺言」は将来設計図としての役割を果たすものであり、その必要性のない人は存在しないといっても過言でありません。日頃描いている将来のビジョンをしっかりと記録しておくことによって、万一のトラブルや騒動に備えておきましょう。



遺言でできること

遺言には法律上一定の効果をもたらすという機能があり、書いたことがすべて何らかの効果をもたらすというわけではありませんが、人の最終の意思表示としての遺言に、思いのたけを残さずに書き綴っておくことは、有効です。

 遺言でできる主な事柄は以下の通りです。

  
財産の処分

 相続分の指定(またはその委託)や遺産分割方法の指定(またはその委託)、遺贈、寄付行為、信託など、相続人にとってもっとも利害を生じやすい部分です。誤解のないよう、はっきりと記載しておきましょう。遺言で相続分を指定しておくことによって、遺産分割協議を不要にし、争いを未然に防止することができます。その指定について、相続人が納得のいく合理的な理由まで記載しておけば対策は万全でしょう。ただし、遺留分の規定には注意です。なお、5年以内の期間を定めて遺産分割することを禁止しておくこともできます。


相続人の廃除またはその取り消し

 生前でも遺言によることもOKです。ただし、家庭裁判所の審判を仰ぐ必要がありますので、遺言の場合は遺言執行者も指定しておきましょう。


認知

 戸籍上の夫婦でない親から生まれた子は嫡出でない子として、認知を受けなければ父親の相続人となることはできません。本来は生前にしておくべき性質のものですが、遺言によることもできます。身分関係のみならず、相続人の確定や相続分の計算上においても重要な意味をもちます。また、胎児を認知することも可能ですが、その場合には母親の承諾を得ることが条件になります。


後見人・後見監督人の指定

 未成年の子があり、自分が亡くなった後親権を行使する人がいなくなってしまう場合、遺言によって任意の人を後見人に指定しておくことができます。


遺言執行者の指定(またはその委託)

 遺言に書かれた通りの内容を実現するために、登記の手続きや相続廃除、認知手続きなど、相続人全員に代わって手続きをする人も遺言で指定できます。遺言執行者に支払う報酬も、決まっていれば記載しておくことができます。中立な立場の第三者に介在してもらうことで、トラブルを回避できます。


祭祀承継者の指定

 仏壇、位牌、墓地など先祖を祀る品も、あらかじめ承継する人を指定しておくことができます。ただ、これらを承継する人にとってはさまざまな負担も伴いますので、相続財産の面でも考慮しておく必要があるでしょう。


特約事項

 ・各相続人は遺産の分割によって取得した財産につき、何か落ち度や欠陥があった場合に、補償しあうなどの担保責任を負いますが、その特約があればその事項を記入します。

 ・遺留分の減殺請求の方法(どの財産から減殺すべき、など)を指定しておくこと。

 ・特別受益を受けた人に、その分を考慮に入れずに相続分を計算させること(持ち戻しの免除といいます)

 これらの事柄も遺言に書いておかなければ効力を生じることはありませんので、よく検討しておきましょう。


任意事項〜法的効力はありません

 遺言はなにも法律上の効果をもたせるだけのものではありません。ひとつの手紙として、どうしてもこれだけは伝えておきたい、という事柄がありましたら、どうぞご自由にお書きください。人の最終の意思表示として、相続人も特別な感慨をもって読んでくれることでしょう。ただし、あまりくどくならない程度に・・・。

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遺言書が見つかったら、まずは検認手続き

相続が開始した場合、遺言がある場合には、その遺言に記述してある内容を最大限尊重して手続きを進めていくことになります。公正証書遺言の場合は原本を公証役場で保管しているので、特別な手続きは不要ですが、自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合は、発見者または保管者は相続開始後すみやかに家庭裁判所にその遺言書を提出して、「検認」の手続きの申し立てをすることになります。検認といっても法律上特別な効果を持つものではなく、要するに「確かに確認し、受領しました」という程度の意味を持つにすぎないのですが、この「検認」手続きを経ないで、勝手に遺言書を開封したりすると、5万円以下の過料に処せられることになります。

遺言書検認申し立ての必要書類

遺言書 1通

遺言書検認申立書 1通

発見者(申立人)の戸籍謄本 1通

遺言を書いた人(被相続人)の戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍 各1通

相続する人全員の戸籍謄本 1通

収入印紙(遺言書1通につき800円)

切手代



遺言執行者とは

遺言はとかく相続人との間で利害を生じるもので、その一部の人に任せていると不公平感をぬぐえない恐れがありますし、任された方も何かとやりづらい面があるでしょう。そんな場合を想定して遺言で中立な立場の遺言執行者を定めておくことができます。遺言執行者は相続人全員の代理人として、相続手続きの一切を代理する権限をもちます。もしその遺言執行者の指定がない場合には相続人全員が共同して手続きを行うことになりますが、後日の紛争を避けるため、またその手続きの煩雑さや各自の都合などを考慮した場合には、あらかじめ遺言執行者を選任しておいた方が賢明に思われます。なお、この遺言執行者の指定は必ず遺言によってすることとなり、生前に指定する方法は現行法上認められていません。遺言執行者の指定がなく選任の必要が生じた場合には、相続人の間で家庭裁判所へ選任の申し立てを行います。

遺言執行者になれない人→未成年者、破産者

選任が強制される場合→嫡出でない子の認知、相続人の廃除またはその取り消し


遺言執行者の職務

 まず相続財産の目録を作成して相続人に交付します。そして財産の管理権は全面的に遺言執行者に移り、相続人はそれを処分する権限を失います。具体的には借金の支払いや取立て、財産の換金や登記手続き、遺贈など遺言の通りの処分行為などがあります。



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